プロが教える蜂の巣駆除の方法【自分で安全にできる対策とは?】

ハチ

毎年春になると、軒下や物干し場で一匹のアシナガバチが巣を作る場所を探しています。お盆にお墓参りへ行くと、灯籠の内側に蜂の巣が作られて数匹の蜂が飛び交っています。蜂は木の上から土の中まで様々な場所で巣を作ります。特殊な場所に巣を作られたらプロに依頼するしかありませんが手の届く所で作り始めの巣を見つけたら、早急に駆除したくなりますよね。

安全に蜂の巣駆除を行なうには判断基準や準備が必要です。毎年「蜂に刺されて命を落とす人がいる」ことを忘れずに、自分で駆除が行なえるのかをしっかりと確認して行動してください。時間と共に巣は大きくなり、蜂の数も増えていきます。けっして無理をしないで、少しでも迷いがある時はプロに相談してください。

自分で蜂の巣駆除ができるのか、確認しましょう

アシナガバチとスズメバチの巣は1年限りで女王バチだけが越冬します。翌年に、前年の蜂の巣に住むことはありませんが近くに巣を作ることはあります。

ミツバチは全て越冬し、春になると新女王蜂が羽化する数日前に働き蜂の半数ほどを連れて新しい巣を探しに飛び立ちます。

では、最初の確認をしましょう。

これは、業者に依頼する場合にも必要になります。

  1. 蜂の種類
  2. 蜂の巣ができた場所
  3. 蜂の巣の大きさ
  4. 蜂の巣の数
  5. 蜂の巣の入り口

ここで注意することは、巣に近づきすぎない!

例えば、巣の場所が確認出来ない時は、プロに見つけて貰うのもひとつの方法です。

蜂は巣の刺激や振動で襲ってくるので、振動をさせないように気をつけてください。

蜂の種類別判断

スズメバチは攻撃性が高いので、自力駆除を行なうのに準備が必要になりますが、ミツバチとアシナガバチは数が少なければ簡易な準備で駆除が可能です。

  1. ミツバチの巣と特徴

ミツバチの巣は、平面の板状で下に垂れ下がっているのが特徴です。

攻撃性は弱く、巣に触れなければ攻撃しません。ただし、冬になると攻撃性が強くなります。屋根裏や床下・壁の内側に巣がある場合は、駆除以外の大工作業があるので、自分で行なうのは難しいでしょう。

  1. アシナガバチの巣と特徴

アシナガバチの巣はシャワーヘッドの形をしています。蜂の巣が下から見え、穴の中で幼虫が動くのも確認できます。スズメバチより攻撃性はありませんが、巣がついている枝葉を揺らすと、一斉に攻撃してきます。

  1. スズメバチの巣と特徴

スズメバチの巣は、初期はフラスコを逆さにした形をしていますが完成すると丸形でマーブル色になり入り口は一カ所です。

蜂の中で一番攻撃性が高く、近づきすぎると一斉に襲ってきます。特に黒色には激しく攻撃する特徴があります。

蜂の巣ができた場所別判断基準

開放的な場所で、脚立等を使用しなくても届く低い所に蜂の巣が出来ていたら、駆除はしやすいでしょう。壁の中や屋根裏に出来た蜂の巣は、壁をはがしての駆除や逃げ場のない狭い空間での作業になるので、プロに依頼しましょう。

また、蜂の巣が出来た場所によって、駆除の責任者が変わります。自宅にできた蜂の巣は家主ですが、公園やマンションの共有部分で見つけたら誰に言えばよいでしょう。参考までに記載しておきます。

  • 賃貸住宅

管理会社や大家さんに報告してください。共有部分は管理者が負担し、ベランダなどの専有部分は自分で駆除になる場合があります。プロに依頼した場合、安い金額ではないので、管理者と相談を行なってください。

  • 分譲マンション

共有部分は管理組合に報告して駆除をして貰ってください。

  • 公園や公道などの公共の場所

役所に連絡して対応をして貰ってください。

蜂の巣の大きさでの判断基準

自分で安全に駆除できる巣の大きさは、15cmまでです。それ以上大きくなると攻撃性が増えて、駆除する人の命に危険があります。

4月から5月頃、最初に女王蜂が一匹で巣を作り始めます。そんな時の駆除なら、スプレーで簡単に駆除が出来ます。蜂の巣が大きくなると中の蜂も増えるので、駆除が難しくなります。

自分で蜂の巣を駆除する時に必要な準備

スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの駆除方法は、基本的な準備と駆除の時間帯は共通していますので、最初に基本の道具を準備しましょう。

  1. 蜂の巣駆除スプレー
  2. 防護服
  3. 懐中電灯

この他に蜂の種類や巣の場所等によって、「長い棒・虫取り網・ごみ袋・赤いセロハン」などが必要となります。

そして、一番大切なのは、駆除する人を見守る人です。

蜂の巣駆除は一人で行なわないでください。蜂に刺されて意識障害が起きた場合に救急連絡をしてくれるパートナーが居る時に駆除を行なってください。見守る人は、家の中の安全な場所に居てもらい窓越しに確認して貰いましょう。広い場所での駆除を見守る場合は、蜂に襲われないように作業場所から離れた所に居て貰いましょう。

【蜂の巣駆除スプレー】

自宅に蜂用の殺虫剤が無くても、「合成ピレスロイド系」の成分が入った殺虫剤があれば蜂に使用しても効果があります。

蜂専用の駆除スプレーは、蜂に近づかなくても退治できるように、強力噴射で11mも薬剤を飛ばすことができる商品があります。ホームセンターや薬局で手軽に購入できますので、今回使用する本数+予備1本(2本以上が安心です)は準備してください。我が家で常備している薬剤は、455ml缶で35秒の噴射、550ml缶で約45秒の噴射ができます。蜂はハエやゴキブリよりも薬剤に弱いので、殺虫成分が蜂の体につくと蜂は落下して死んでしまいます。動かなくなるまで噴射し続けなくても大丈夫です。

【防護服】

蜂の巣が6cmを超えたら、蜂駆除用の防護服を必ず着用しましょう。価格は数千円~10万円超です。

他の物で代用する場合は、

蜂は黒いモノに反応して攻撃してきますので、蜂に攻撃されないように肌の露出がない白い服装で行なってください。作業着やスキーウェアの場合は白のカッパやレインコートを上から着ると刺激をあたえません。襟元から蜂が入らないように首にタオルを巻き、長靴の中にズボンの裾を入れて、手袋の中に袖を入れます。袖や裾のスキマはガムテープでしっかり留めてください。マスク・ゴーグル、養蜂家が使用している防蜂ネットは安全ですが、無い場合はヘルメットや帽子を使用してください。必ず、肌が出ないように準備してください。後は、ニオイ対策です。ヘアスプレー・香水・柔軟剤・汗のニオイなどのニオイの刺激で攻撃してくる場合もあります。

【服装のまとめ】

  • 作業着(長袖、長ズボン)
  • 白のレインコートかカッパ
  • 長靴
  • 手袋(軍手や革製)
  • マスク
  • ゴーグル
  • 防蜂ネット(帽子かヘルメット)
  • タオル
  • ガムテープ

※白色を着用して駆除を行なってください。

自分で蜂の巣を駆除する方法

蜂の巣の駆除を安全に行なうには、日没後の2~3時間後が一番適しています。

蜂は日中活動し、夜間は暗くて活動が出来ないので巣に戻ってきます。

もしも、日中に駆除を行なったら、活動に出かけて戻ってくる蜂(戻り蜂)の駆除も忘れないで行なう必要があります。

作業の順番です。

  1. 巣の位置を日中に確認

近づきすぎないようにして、巣の穴の位置も確認します。

  1. 21時過ぎに完全装備で駆除をスタート

懐中電灯の明かりに蜂が飛びかかってくるので、赤のセロファンを貼った物で場所の確認をします

  1. 巣の位置まで近づく
  1. 殺虫剤をかける

巣の表面にいる蜂をスプレーで駆除し、巣の入り口側に噴射して中から出てくる蜂を駆除(3~5分程)

巣に近づき、入り口から中に噴射します。その時、中から蜂が出てきても、飛び立つことはできません。ライトを地面に置いて点灯します。光に寄ってきた蜂を噴射して退治します。

  1. 巣を処分する

蜂の巣を長い棒で落とし、ゴミ袋を掛けた虫取り網でキャッチします。ゴミ袋に入った巣を壊し、巣の中の幼虫は踏んで確実に駆除します。袋の中に殺虫剤を噴射し、袋を二重にしておくと安全でしょう。自治体のゴミ出しルールに沿って捨ててください。

④で、動かなくなった蜂の針には毒が残っています。死んだと思っても最後の力を振り絞りジタバタもします。駆除した蜂は、手で触らずにホウキとちりとりで集めて袋にいれてください。

  1. 戻りバチ対策

巣がなくなった後も1週間ほど巣があった周囲を飛び回る蜂を「戻りバチ」と呼びます。再度、巣が作られないように、巣があった周りに、殺虫スプレーを撒いておくと安心です。

もしも、刺されてしまったら

刺されたらすぐ、水道水で毒を絞り出すようにして洗い流してください。

決して口で吸って毒を吸い出さないでください。毒で口の中がしびれてくる場合があります。

刺された場所が痛んで腫れる局所症状は、応急処置を行ない、数日経過してもおさまらない場合は皮膚科に受診してください。

全身にかゆみやしびれ・はきけ・めまい・呼吸困難などの全身症状は、すぐにアレルギー内科に受診してください。

全身症状の場合、移動中に意識障害が起こることがあるので、救急車を呼び、搬送してもらってください。

過去に刺された体験をしている人が刺されると、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。蜂の毒に対するアレルギー反応アナフィラキシーショックは、最悪の場合は命にかかわります。

過去に刺されたことがある人は、自分で駆除は行なわない方が賢明でしょう。

もしも、蜂が攻撃してきたら

スズメバチに攻撃されたら、手で払ったりしないで、身を伏せてじっと動かないでください。警戒フェロモンが出されているので、人が騒いでいると、仲間の蜂を呼んで攻撃してきます

くしゃみが出る場合は、できるだけ遠くへ逃げてください。

左右の動きには敏感ですが前後の動きには鈍いので、巣と反対側にあたる後方へ、20m以上を目安に逃げてください。

アシナガバチを驚かせた場合も、声を出さないでしゃがんでください。敵を探しに何匹も飛び回りますが、巣より低い位置は、蜂に見つかりにくいようです。

家の中に蜂が入り込んだ時の対処方法

日中、家の中に蜂が飛んでいたら、大きな声を出して追い払うような動きをしないでください。蜂は驚いて攻撃してきます。蜂の「明るい方を目指す習性」を利用して、部屋を暗くして窓を開けて逃がしてください。

閉めた窓はカーテンで明暗をハッキリさせると効果があります。

夜間の場合は、外に懐中電灯を置くなど、家の外に明るい場所を準備すれば出ていってくれます。

駆除スプレーには虫を殺す成分が入っているので、家の中で使用するのはおすすめしません。蜂を刺激して刺される場合もありますので、室内からはソッとお帰りいただきましょう。どうしても使用する場合は、人やペットを遠ざけて薬剤を吸い込まないように充分注意をしてください。

室内で蜂がいた場合は、家の周りに蜂の巣がある可能性が高いです。見つけられない蜂の巣はプロに相談してください。蜂を追いかけて巣を見つけ出してくれます。

蜂が家の中に入り込む場所を確認しましょう

家の中では安心して過ごしたいですよね。蜂が入り込む場所はいくつもあるので、毎年の点検項目に入れるとよいでしょう。

  1. 網戸のスキマ

 網の破れ、網戸はゆがんでスキマはありませんか?

  1. 洗濯物や布団の取り込み時

 蜂が休憩場所に使用していることがあります。

 室内に入れる前に良く確認をして取り込んでください。

  1. 通気口や換気扇

 網目の細かい、虫防止ネットで対策してください。

  1. 室外機のパイプ

室外機内に巣を作ることもあります。虫がエアコンのパイプ内を塞いでいるのを、送風口から水が飛んできて気付く場合もあります。

  1. 玄関

人の出入りと一緒に入り込んでしまいます。

蜂の巣を作らせない方法

蜂は基本的に花の蜜などの栄養を接種して生きているので、甘い香りの花、甘いジュースの缶、香りの強い洗剤や柔軟剤は蜂が近づく可能性が高いです。

逆に、蜂が苦手なニオイもあります。ハッカ油、木酢液、虫除けネットです。

ハッカ油や木酢液は週に1回、ベランダや庭に撒くとよいでしょう。

蜂の巣を作らせない「殺虫+予防」のスプレーが市販されています。スプレーの効果は1ヵ月。前年に蜂が巣を作った場所の周辺や巣を作らせたくない場所に1㎡あたり5秒噴射すると効果があるので、前年に巣を作られたら必ず予防対策をおすすめします。

まとめ

蜂の巣駆除を自分で行なうには、判断基準が大切です。

低い開けた場所で15cm以下の蜂の巣なら合成ピレスロイドの市販の蜂駆除スプレーで駆除ができます。ただし、6cm以上の巣になると蜂の数が増えるので、防護服が必要になります。一度、蜂に刺された体験のある人は、自分での駆除は命にかかわるので、行なわないでください。蜂の巣の駆除は、とても危険がともなう作業ですが、しっかりと準備をすれば、自分で駆除を行なうこともできます。駆除の後は、巣を作らせないための予防対策も忘れずに行なってください。

もしも、特殊な場所や高所に出来た蜂の巣、大きくなった蜂の巣など自力では駆除が困難な場合は、早めに連絡をしてください。また、作業の途中で怖いと感じた場合も、ご相談をうけたまわります。

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