シロアリの卵から女王までの「階級別大きさ」や「特徴」と「役割」を知って、シロアリ駆除を成功させましょう
シロアリは温度変化の少ない地中に数万から数百万匹以上のコロニー(巣)を形成し、存続させるためにそれぞれの役割を担って働いていると云われています。地中から家屋に侵入して木材に含まれる栄養源(セルロース)を採取し、他の階級のシロアリに分け与えて生命を維持しています。
シロアリから大切な家屋を守るには、シロアリ組織を知る事がとても大切です。
【シロアリの組織図】
ヤマトシロアリ イエシロアリの階級別大きさと特徴
ヤマトシロアリ
生息地:北海道を除く日本全土
羽アリの群飛:4~5月の日中
コロニーの個体数:1~3万頭
コロニーの大きさ:大きい物で1m以上、餌場が巣になる
特 徴:乾燥に弱いため、水分の多い湿った木材の中で巣を作って生活しているので、地上に現れることはほとんどない
発見される場所は、地面に近い床下やバスルーム、キッチンなどの日常的に湿気が多い所
蟻道を作って移動
職蟻(しょくぎ):3.5~5.0mm
灰色がかった白色から透明
丸い頭部
翅、眼はない
2~3ヵ月で活動を始め、一生を通じて脱皮を続ける
兵蟻(へいぎ):3.5~6.0mm
灰色がかった白色
頭部は長方形で体調の1/2の長さ
翅、眼はない
大顎は鋭くはさみ状
有翅蟻(羽アリ):約4.5~7.5mm
頭部は黒褐色、前胸板は黄色
翅は銀色不透明、前翅は後翅より大きい
生殖虫:11~15mm
灰色がかった白色から明るい琥珀色
雌雄いる
翅はない(機能しない非常に短い翅がある場合もある)
複眼
イエシロアリ
生息地:千葉県から西側の海岸線に沿った温暖な地域と南西諸島、小笠原諸島
羽アリの群飛:6~7月の夕暮れから夜
コロニーの個体数:100万頭
コロニーの大きさ:分巣を含めると最大半径100m以上
特 徴:イエシロアリは湿気が多い場所以外の所も好むので、床下はもちろん、屋根裏なども加害範囲を広げるため家屋の被害は早くて大きい
職アリ:4.0~7.0mm
灰色がかった白色
翅、眼はない
兵アリ:7.5~9.5mm
灰色がかった白色
頭部は卵形で長さは体調の1/3
翅、眼はない
大顎は鋭く湾曲状
羽アリ(有翅蟻):7~10mm
黄色がかった茶色
翅は無色半透明、小さな毛で覆われている
生殖虫:30~40mm
灰色がかった白色から明るい琥珀色
雌雄いる
翅芽はない
複眼
シロアリ組織の階級と役割
シロアリは、女王と王を中心として多数の働きアリが支える社会性昆虫です。
羽アリが羽を落とし、雌雄1頭ずつが「つがい」となって新しいコロニーを造ります。最初に小さな部屋を作り、交尾を行ない、5~20日後に最初の産卵で職蟻や他の階級になる幼虫を飼育します。産卵数はヤマトシロアリで数個~10数個、イエシロアリで20~30個と云われますが、産卵のたびに数は増えていきます。それを10年以上(15年~20年)休み無く続けます。
産卵された「卵」から孵化して「幼虫」になります。そして「幼虫」から「職蟻」「兵蟻」の階級になり、コロニーがある程度大きくなると「ニンフ」という階級のアリが誕生します。ヤマトシロアリとイエシロアリの大きな違いは、ヤマトシロアリは職蟻からほかの階級に分化しますが、イエシロアリはほかの階級に分化をしません。そして、イエシロアリはニンフが兵蟻になることもありません。
「生態フロー」
女王アリと王アリ ←
↓ ↑
卵 ↑
↓ ↑
幼 虫 → 職 蟻 ↑
↓ ↑
兵 蟻 ニンフ → 副生殖虫
↓
羽アリ
↓
新たな女王アリと王アリ
【職(はたらき)アリ:職蟻(しょくぎ)階級】
コロニーの約90~95%
寿命は約2年程度
食糧の調達
シロアリの中で職蟻だけが採餌(さいじ)を行なう
採餌した栄養素を巣の仲間に分け与える
卵や幼虫の世話を行ない、コロニーを増築し通路(蟻道)を構築する
【兵アリ:兵蟻(へいぎ)階級】
コロニーの約2~5%
寿命は2年程度
偵察や仲間の護衛を行ない、外敵などからコロニーを守る
外敵が通路に穴を開けると職蟻は避難し、兵蟻が開口部に集まり、頭部と大顎を外側に向け侵入者からコロニーを守る
職蟻は避難しながら通路を塞ぐので、外に取り残された兵蟻が犠牲になる
【ニンフ(若虫)階級】
職アリとして活動している一部の種類
成長すると、「羽アリ」や「生殖階級」になる
卵と若齢虫の世話と給餌を行なう
【生殖階級:女王アリ、王アリ】
女王アリと王アリは1つのコロニーに1頭ずつ存在
女王アリの腹部は身の丈以上に肥大
職アリから給餌や世話を受けて、一日に数百個~1万個以上の卵を休みなく生み続ける
15~20年生き続けるが、何らかの理由で産卵できない時は、あらかじめ産んでいた副生殖虫の「二次女王」「二次王」が新たな女王アリや王アリとなって産卵は行なわれ続ける
シロアリの卵の大きさと幼虫
シロアリの女王は卵を産み続けることが役割です。産まれた卵は直径1mm以下で0.4~0.6mmとも云われています。女王アリが産卵すると、職アリが卵を保護するための部屋に運び卵塊を作ります。そして、乾燥や病気から卵を守るため、職アリは抗菌物質を含む唾液を卵に塗ります。そうやって、巣の奥で大切に育てられているシロアリの卵は約1ヵ月後に孵化します。シロアリは「不完全変態」なので、孵化した幼虫は職アリをそのまま小さくした姿をしており、何回かの脱皮を繰り返して成長していきます。
シロアリ被害は早めに食い止めましょう
組織化されたシロアリの駆除は、コロニーを壊滅するのが一番良い方法です。シロアリや羽アリを見つけたら、出来れば見つける前に「無料調査」で被害の有無を明確にして、今後の対策を検討することをおすすめします。